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商品ライフサイクルマネジメントの基盤となる文書情報管理システムを整備

カシオ計算機株式会社 様

人々のライフスタイルを豊かにする商品を作り続けるカシオ計算機。2023年4月に誕生40周年を迎える時計ブランドの「G-SHOCK」は、耐衝撃性などの性能だけでなく、商品の持つ世界観を含めてワールドワイドで支持され、累計出荷個数は1億4,000万個を突破した。関数電卓や電子辞書などの教育機器や電子ピアノなどの楽器、システム、その他の新規事業においても、付加価値が高い独自の商品を世の中に送り出している。これらの商品を生み出す開発力を強化して企業競争力をさらに高めるために、同社では商品ライフサイクルマネジメントの基盤整備に取り組んでいる。その中核となるのがCTCの「EIMANAGER」を活用した文書情報管理システムだ。

 課題と効果
     
   
     

    • 商品開発システムが分断化されていて、メンテナンスが非効率だった

    • 開発に関する情報がデータ化されておらず、商品開発に顧客ニーズを反映できていなかった

    • 登録文書の増加によりシステムに負荷がかかり、操作性が悪くなっていた

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EIMANAGERによる文書情報管理システムの構築

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    • 複数のシステムをEIMANAGERで統合することで、メンテナンス工数を大幅に削減できた

    • データの一元管理とプロセスのデジタル化で、顧客ニーズを反映させた開発が可能になった

    • 新しい仕組みの導入による性能改善で、ストレスなくタイムリーな情報共有を実現した

 導入事例インタビューデータ

 会社名 : カシオ計算機株式会社
 本社 : 東京都渋谷区本町1-6-2
 設立 : 1957年
 資本金 : 485億9,200万円
 代表者社長 : CEO 兼 CHRO 増田 裕一
 従業員数 : 単体/2,577名、連結/10,152名(2022年3月31日現在)
 URL : https://www.casio.co.jp/

 

 羽村技術センター デジタル統轄部 統合プラットフォーム部 エンジニアリンググループ
 (左から)リーダー 平尾 雅信氏、松井 俊城氏

データを活用した商品開発プロセスの確立で「ユーザー中心のバリューチェーン」構築に貢献

カシオ計算機は現在、デジタル改革を急速に進めている。創業から積み重ねてきた技術の強みを活かしながら、市場が必要としている価値を掘り下げ、時代の変化に対応したユーザーファーストの事業活動を実現するためだ。開発・生産・営業・カスタマーサービスといった業務の中心にユーザーを据え、データを活用したユーザー視点の業務改革を進めることにより、企業競争力を高める全社的な取り組みである。カシオ計算機ではこうした事業モデルを「ユーザー中心のバリューチェーン」と呼び、同社とユーザーが直接つながり、ユーザー起点で全ての事業活動が成り立つ新たな企業の姿を目指す。

この取り組みの一環で、商品ライフサイクルマネジメント(PLM)の基盤として整備したのが、EIMANAGERを活用した文書情報管理システムである。データを活用した商品開発プロセスを確立することで、「ユーザー中心のバリューチェーン」の構築に貢献するものだ。商品開発で扱うあらゆる情報のデータ化により、開発プロセスの効率化にとどまらず、開発過程で作成された企画書や仕様書などのコンテンツの内容を生産・営業・カスタマーサービスなどの業務でも有効活用できるようにする。

デジタル統轄部 統合プラットフォーム部 エンジニアリンググループ リーダーの平尾雅信氏は、この文書情報管理システム構築の背景について、次のように述べている。「従来は商品開発プロセスが品目、組織、人で個別に管理され、ユーザーの声を活かす仕組みになっていませんでした。ユーザーニーズに応える価値の高い商品を素早く効率的に、しかも高い品質で生み出せるようにするには、開発に関わる様々なデータの一元管理と個人のノウハウや手作業に頼っていた業務プロセスのデジタル化が必要でした」

EIMANAGERの柔軟性を活用した商品化認定書管理システムとデザイン仕様書システム

「商品化認定書システム」もEIMANEGERの柔軟性を活用した特徴的なシステムだ。まず、EIMANAGERの帳票管理機能を使ってワークフロー管理を改善した。商品化認定の過程では、想定した回覧先の他に新たに確認が必要となる部門が出てくるケースがある。そうした時に回覧先を簡単に追加したり変更したりできるようになった。またEIMANAGERの機能拡張によって、従来はプログラム変更が必要だった認定書や判定書の入力項目の追加・削除も容易になり、商品企画部門の担当者自身による設定が可能になったという。

さらに、認定書や判定書のデータをデータベースシステムに出力し、分析ツールを使った事業全体の分析ができるようになった。商品企画時の予算データを別システムの実績データと比較することで、商品ごとやジャンルごとの予実管理を行い、より精度の高い商品計画につなげる。これも情報のデータ化への取り組みの一環だ。

時計のデザイン仕様を管理する「デザイン仕様書システム」は、バンドや液晶、材質、色などの項目をテンプレートに入力し、デザイン画像を貼り付けてアップロードすると、画面上の基本情報と色情報のタブにそれらのデータが取り込まれる仕組みになっている。「時計という商品のファッション性からカラーバリエーションを非常に重視していて、色情報は独立したタブを設けています。細かいカスタマイズが簡単にできるのもEIMANAGARの長所です」(松井氏)

このシステムは、従来は複数のシステムを組み合わせて構築したものをデザイン部門で管理していたが、EIMANAGERに統合したことでデザイン部門は本業であるデザインに専念できるようになったという。「システムのメンテナンスはこちらの専門部隊で行うようになり、管理効率も向上しました。利用者が慣れている従来システムの使い勝手に合わせて設計できたので、移行後も利用効率を落とさずに運用できています。EIMANAGERがなければ、この仕組みそのものを大幅に変更しなければならなかったかもしれません」(松井氏)。こうしたメンテナンスの効率向上は、システム全体においてEIMANAGERを導入した効果として表れている。

カシオ計算機_アプリケーション画面キャプチャ.png
アプリケーション画面

CTCとの継続的なタッグにより、EIMANAGERの利用領域をさらに拡大

輸出管理関連の2種類のシステムもEIMANAGERで構築したが、これらのシステムはカスタマイズをCTCに委託することなく、内製によって構築した。その結果、EIMANAGERの知識と理解が深まったことで、その後のCTCとの役割分担をより明確にすることができ、システム化の仕様決めなどがスムーズになるメリットを実感したという。

PLM関連では他にも、時計のバンド仕様を関係部門で管理・共有する「バンド仕様連絡書システム」とお客様相談センターと開発部門の連携のためのe-MICKと呼ぶ「顧客問合せ管理システム」が稼働している。「PLMにおける情報管理というテーマで共通性があるものの、それぞれのシステムには特色があり、それぞれに異なる要件があります。EIMANAGERという製品の柔軟性とCTCの対応力があるからこそ、複数のシステムを構築・稼働させることが実現できているのだと思っています」(松井氏)

顧客問合せ管理システムであるe-MICKの開発では、利用部門からチャット機能を組み込みたいという強い要望が寄せられた。「チャットに特化したアプリケーションは市場で数多く販売されていて、別々で運用する選択肢も十分に考えられましたが、EIMANAGERの優れたカスタマイズ性とCTCの技術力を駆使したサポートによって、システム内の機能として搭載することができました」(平尾氏)

今後は、商品開発部門の業務効率化をさらに進めるためにSmoothの機能強化を継続するとともに、他部門にも利用領域を拡大していく計画だ。すでに、ITプロジェクトの進捗情報を管理・共有する「ITプロジェクト評価システム」と時計や電子辞書などの各商品に組み込むソフトウェアの開発で作成される文書を管理・共有する「EIM文書管理システム」を構築した。また、カシオ計算機全社のDX推進の一環として、ローコード開発基盤のOutSystemsを使った社内システムのアジャイル化が進められており、EIMANAGERで構築した文書情報管理システムとAPI連携して、システム統合を図ることも検討されている。


カシオ計算機_システム一覧.png

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